がんと向き合い生きていく

コロナ禍での自殺者増であらためて考える がん患者の心の問題

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

■「がん=死」をイメージする人は多い

 がん患者の心の問題は国ではどう考えられてきたのでしょう? 18年3月に閣議決定された第3期がん対策推進基本計画には、「我が国のがん患者の自殺は、診断後1年以内が多いという報告があるが、拠点病院等でも相談体制等の十分な対策がなされていない状況にある。がん診療に携わる医師や医療従事者を中心としたチームで、がん患者の自殺の問題に取り組むことが求められる」と書かれています。

 やはり、まずは担当する医師が患者の心をしっかり支えてほしいと思います。医師の一言一言は患者の心に響きます。医師が診察していて「これは」と感じることがあったら、早めに精神科や心療内科の医師と相談することです。

 医師からがんと告げられた時、「がん=死」をイメージする方はたくさんおられます。コロナ禍のこんなタイミングでがんと診断されたら、それはそれは大変です。しかし、多くのがんは治るのです。たとえ進んだがんだとしても簡単には死なないのです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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