がんと向き合い生きていく

コロナ禍での自殺者増であらためて考える がん患者の心の問題

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 この春に発表された国立がん研究センターの報告では、がん患者の10年生存率は全体で59.4%だそうです。女性の乳がんでステージ1の場合、5年後の生存率は100%、10年後は99.1%。一方、ステージ3になると生存率は5年後に80.6%、10年後には68.3%。全身転移したステージ4の場合は5年後34.4%、10年後16.0%です。

 電話で話した友人の奥さんは、幸い針生検ではがん細胞は見られず、1年に1回検査へ通うことになりました。奥さんはもちろん、友人、私もみんなでホッとしました。

 あなたはひとりではありません。病院には相談支援センターなどがあります。「こころの相談室」が設置されている病院もあります。電話カウンセリング、「いのちの電話」といった対面でなくても相談できるシステムもあります。

 世の中を暗くしているコロナ禍、「コロナだから仕方ない」じゃない。腹が立つけど、癪だけど、生きようよ。生きながらえようよ。癪だから生きようよ。そして、また会えるよ。また会おうよ。

 応援しています。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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