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シメジの苦味成分にはがん抑制や心筋梗塞予防の効果が期待されている

シメジの苦味成分はがんを抑制する
シメジの苦味成分はがんを抑制する(C)日刊ゲンダイ

「香りマツタケ、味シメジ」といわれるほど味に優れているキノコのひとつがシメジです。昔はヒラタケをシメジ状に栽培したヒラタケシメジが主流でしたが、私たちがイメージしているシメジ(ブナシメジ)が出始めたことでその名を譲りました。

 この頃は、ヒラタケシメジと区別するために本シメジと呼ばれていたそうです。ところが、栽培技術が進み、マツタケと同じように本シメジが量産できるようになったことで、本シメジの名を本家に返した形で、ブナシメジとして販売されるようになった経緯があります。「味シメジ」の言葉は、栽培困難だった高級な本シメジをマツタケと並べて表したものだったのです。

 そうはいってもブナシメジも負けず劣らずうま味成分であるグルタミン酸が豊富なキノコです。そして、そのほかにも塩分を体外へ排出してくれる働きがあるカリウムが100グラムあたり370ミリグラム(半パック分)含まれています。1食あたりのカリウム摂取量の目安は成人男性833ミリグラム、成人女性667ミリグラム以上とされていますので、カリウム摂取に一役買うことができるといえるでしょう。食物繊維は、水溶性と不溶性の両方が含まれるほうが体内時計を正常に働かせるために有益であることがわかっていて、シメジはその両方を含みます。シメジの摂取が乱れた体内時計を整えるきっかけになるとよいですね。

 さらに、体の中でエネルギーをつくるときに役立つビタミンB1、ビタミンB2、骨を丈夫にしてくれるビタミンD、二日酔いに役立つオルニチンなども含まれています。特にオルニチンはキノコの中でも含有量が多いので、お酒を飲みすぎてしまった後にはおすすめです!

 また、シメジには独特の苦味の原因となるテルペンも含まれます。最近の研究では、テルペンのがん抑制作用、脳卒中や心筋梗塞の予防効果などが注目されているのですが、苦味をできるだけ感じることなく食べたいものです。苦味を抑えて食べるためには水で洗わないことと、加熱しすぎないことが大事。若くて小さいシメジのほうが苦味を強く感じるので小さいものを避けたり、どうしても汚れが気になる方は固く絞った布巾で拭く程度にしましょう。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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