なぜいま新型コロナウイルスの空気感染対策が必要なのか? 初冬の豪州ではすれ違い感染が

ワクチン完了者もマスクは必要(C)日刊ゲンダイ

 飛沫はすぐに落ちるため、1~2メートルしか飛ばない。一方、飛沫核は空気中に浮遊して遠くまで飛ぶ。世界保健機関(WHO)や感染症学の定義では飛沫感染は「粒径5マイクロメートルより大きい液滴状による感染」であり、空気感染は「飛沫から水分が蒸発して生成する粒径5マイクロメートルより小さい粒子による感染」である。

 この区分に従えば、空気感染はすべてエアロゾルを介した感染となる。

「これまでは生きたウイルスが多数含まれる飛沫がくしゃみなどで吐き出され、それがテーブルやドアノブ、紙幣などに付着し、それを触れた手で口元や鼻などに触ることで感染すると考え、飛沫感染や接触感染の対策が中心となってきました。ところが、多くの人が素手で触れる紙幣を扱う銀行でクラスターが発生したとの話は聞かないし、ドアノブから感染者が多数発生したとの話も聞かない。むしろ、最近は野外音楽フェスティバルやバーベキューなどオープンスペースでの集団クラスターが増えていて、検疫のための宿泊施設で、お互いに面識がない人の間で感染が拡大したり、公共交通機関の中で遠く席が離れた人が感染したりした例が報告されている。感染経路の主役は接触感染でなく、エアロゾルを介した空気感染ではないか、との声が上がっているのです」

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