進化する糖尿病治療法

血圧は「ちょっとだけ高い」でも腎臓病のリスクが高くなる

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 フォシーガを製造販売する製薬会社のアストラゼネカによると、慢性腎臓病ステージの2~4(5段階で評価。数字が大きくなるほど症状が重い)、かつ腎機能の指標であるアルブミン尿の増加が確認された4304例を対象に、フォシーガ投与による有効性と安全性をプラセボ(偽薬)と比較検討した国際多施設共同無作為化二重盲検比較試験では、腎機能の悪化、末期腎不全への進行、心血管または腎不全による死亡などのリスクを、プラセボと比較して低下させたとのこと。

 米国ではすでに、フォシーガは2型糖尿病合併症の有無にかかわらず成人の慢性腎臓病治療薬の承認を取得しており、日本やそれ以外の国では承認審査中です。

 日本での取り扱いが今後どうなるかはまだなんとも言えないものの、SGLT2阻害薬が慢性腎臓病の治療薬として日本でも承認されれば、人工透析に移行する患者さんが減る可能性が大いにあります。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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