最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

大学病院からの患者さん紹介がこの3年で7倍に増加した理由

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 そんな病院との連携が実を結んだ患者さんがいました。

 その方は80代前半の、認知症と慢性腎臓病を患う男性で妻と2人暮らし。1カ月前から徐々に食欲が低下し、ある病院を受診されましたが、そこでの透析中に状態が急変し意識レベルの低下があり、医師から入院加療を勧められましたが、入院したら家族に会えないからご自宅で療養したいというご本人とご家族の希望もあり、病院の看護相談室の担当者が早速調整し、当院による自宅療養が開始となったのでした。

 当初は疼痛により自力で体を動かすことが困難でしたが、鎮痛剤の内服によりやや改善できたため、待望しながらも諦めていたひ孫さんとの初対面も果たし、家族写真も撮ることができました。そしてそれから3日後、ご家族が見守る中、旅立たれていかれました。

 たとえ短い時間であろうと、患者さんにとっては宝石のように大切な残された時間を輝かせることも、在宅医療の大切な仕事なのです。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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