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新学期の米国で子供のコロナ感染が拡大 1学区で教師ら13人死亡も

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写真はイメージ(C)PIXTA

 デルタ株が猛威を振るうアメリカでは、新学期が始まった時点でのコロナ感染者の4人に1人が子供というニュースが衝撃を与えています。

 新規感染者は、ワクチン接種が遅れている南部の州を中心に1日約14万人。米国小児科学会によればその26%が18歳に満たない子供とのことでした。

 アメリカでは8月中旬から新学期が順次スタートし、中にはパンデミックが始まって以降初めて対面授業に戻る学校も少なくありません。子供の感染者の割合はこのタイミングで10%近く増え、すでに学校閉鎖も起こっています。

 子供は重症化しないとよく言われますが、CDC(アメリカ疾病対策センター)によれば現在の子供の入院患者は約2400人で毎日370人が新たに入院し、2カ月間で5倍に増加したと報告されています。入院する子供の多くは合併症を持つことが多いという意見の一方で、実際には半数近くが特に既往症を持たない健康な子供だということも分かっています。

 こうした中でショックだったのは、フロリダ州マイアミデード郡の公立校で8月中旬以降、13人の先生や学校職員が次々に亡くなったというニュースです。フロリダ州は同じ南部のテキサス州と並び、共和党知事と州政府がマスクやワクチンの義務付けに反対し、特に学校でのマスクの義務付けを禁止。違反した自治体への予算カットなどを示唆してきました。しかし多くの学区ではそれに反発、独自にマスクを義務付け激しい論争となっています。

 マイアミデード郡の学校職員の85%はワクチン接種を終えていますが、これまでに亡くなった職員全員が未接種だったと報告され、ワクチンに関するネガティブな情報蔓延の犠牲になったと考えられています。

 11歳以下の子供はまだワクチンを打てない状況下で、対面授業を続けるためにも、新たなウイルスの変異を防ぐためにも、感染防止が急務とされています。そんな中、アメリカではワクチン耐性を持つかもしれないとされるミュー株が全米の49州で発見され、新たな脅威となっています。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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