独白 愉快な“病人”たち

死ぬときはがんが最適…医師の石蔵文信さん全身がんを語る

石蔵文信さん(提供写真)

 いずれ整理しなければ……と思っていたものが、こういうことになったので積極的に整理できるようになるという意味では、がんは悪いことだけではない。じつは、もう葬式の会葬の品も用意してあります。

 5年前に大学教授もやめて、仕事をグッと減らして、今は孫の世話と終活とスポーツで忙しい。一般に骨に転移していると骨がもろいからスポーツはあまりおすすめされないけれど、前立腺がんは骨がもろくならないタイプの転移をするんですよ。日に当たって運動すると骨が丈夫になるから、僕はがん治療をして調子がよくなってきてから趣味のテニスの回数を増やしたんです。

 そうしたら、やり過ぎて右腕がテニスエルボー(肘炎症)になったので、昔少しやったゴルフを始めました。ゴルフは右手をそんなに使わないんでね。父親ががんだと娘や婿も一緒に回ってくれますし、歩きながらいろんな話もできる(笑い)。すると今度は左手がゴルフエルボーになりました(笑い)。やっと解禁になりましたけどね。

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