また、肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、悪性リンパ腫など、使用頻度が高いアントラサイクリン系の抗がん剤は、不整脈、心筋症、心筋炎、心外膜炎といった心臓疾患が表れる場合があります。心筋に対する毒性があり、蓄積投与量が増えるにつれて心不全のリスクが高くなり、患者さんによっては遅発性の副作用が起こり、在宅中に急変をきたすケースがあることもわかってきました。
近年になって登場した分子標的薬の多くも、高血圧、心筋障害、冠動脈疾患、心不全の副作用が報告されていますし、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)などの免疫チェックポイント阻害薬も、心筋炎、心房細動、心室性期外収縮などの心臓障害を起こすリスクが指摘されています。
抗がん剤ではありませんが、前立腺がんの治療などで使われるホルモン剤も、患者さんによっては一気にコレステロール値が上昇して動脈硬化の促進に傾くため、心血管疾患につながりやすくなるといわれています。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」