新型コロナウイルス「動物間」での感染拡大はなぜ怖いのか

新型コロナウイルスは種の壁を乗り越え感染する

「現時点では牛・豚・鶏のような代表的な家畜に感染したという報告はないし、動物から人への感染はミンク以外に報告されていません。ですから、いますぐ何かあるというわけではないと思います。しかし、新型コロナが飼育動物から野生動物にまで広がってしまうと簡単には新型コロナウイルス感染症は根絶はできなくなる。いくら人の間での感染の連鎖を止めても、動物間での感染が続けば、新たな変異株が誕生して人への感染が始まらないとも限りません。その意味で、新型コロナウイルス感染症を人間だけの問題と考えるのは危険ではないでしょうか」

■変異株の動物ACE2への結合を確認

 問題は、新型コロナの変異株はなぜ種の壁を乗り越える可能性を高めることにつながるのか、だ。

「Immunity」という免疫分野の国際的な論文雑誌の2021年6月8日号に中国の研究者による興味深い研究が掲載されている。新型コロナウイルスの変異株のスパイクタンパク質の構造の変化を調べたものだ。

3 / 4 ページ

関連記事