Dr.中川 がんサバイバーの知恵

がん患者ではコロナワクチンの副反応でPET検査に異常が出ることも

悪性リンパ腫であることを公表したジェフ・ブリッジス(C)ロイター/Abaca Press

 がん患者のコロナ対策としては、ワクチン接種が不可欠です。日本は、接種8割完了に向けての道半ば。人によっては、接種をためらっているかもしれません。しかし、治療予定や治療中でも、経過観察中でも、アナフィラキシーショックのリスクがなければ接種が基本です。

 ただし、抗がん剤治療中などで免疫力の低下が強いと、抗体価が十分に上がらない可能性もあります。

 ブリッジスさんのように治療中に感染が見つかると、コロナの治療が優先。コロナを治してからがん治療を再開することになります。このときにがんが悪化する恐れもあるため、コロナの発症予防はとても重要。だからこそ、がん患者の人はワクチン接種が大切なのです。

 がん患者のワクチン接種では、発熱や痛み、倦怠感とは異なる特徴的な副反応が見られることがあり、要注意。それが、わきの下のリンパ節の腫れ(腋窩リンパ節腫大)です。これがあることで転移をチェックするPET検査を受けるときは、気をつけてほしい。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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