最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

患者はその場ですべてを聞いて判断し、納得しなくてもいい

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 この患者さんは好奇心旺盛で、よく話される方でした。往診する医師やスタッフとの間でも心を開き遠慮なく話され、ご自分の病気の仕組み、輸血の際などには白血球の働きを細かく質問するなど、心を開き探求心旺盛に、楽しそうに会話していました。ある日のことです。
患者「こんなに急激に悪くなって、あと余命はどれくらい?」

医師「言っても大丈夫ですか?」

患者「お願いします」

医師「正直、今の悪い状態が続くと週単位かなと思います。でも、はっきりしたことは分からない」

患者「ご飯を食べられなくなると終わりですよね?」

医師「ひとつの目安にはなりますね」

 こうして、この患者さんは在宅医療を開始して約1カ月ほどで旅立たれました。実際には予想より長く頑張って生活できたわけですが、「悪い予想が、良い方に外れましたね」とお話ししたところ、笑っていらっしゃいました。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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