医者も知らない医学の新常識

パートの医者が主治医だと患者の予後に影響する? 米専門誌に研究結果

写真はイメージ
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 働き方改革ということが叫ばれるようになると、残業徹夜が当たり前という医療の世界でも、次第にアルバイトで夜勤や当直はしない、というような働き方をする医師が増えるようになります。あるアメリカの統計では、勤務医の4人に1人はパートタイムの医者であるそうです。

 もちろん、そのこと自体は当然の世の流れですが、病院で入院患者を受け持つ医師のような場合、その病院で勤務している時間が短いことが、患者の予後に悪影響を与えることはないのでしょうか? 今年の米医師会の内科専門誌に、この問題についての研究結果が報告されています。

 急病で入院した高齢者39万人余の予後を主治医が1年のうちどれだけの時間、臨床で働いていたかと比較したところ、パートタイムで臨床をしている医師が主治医であると、患者さんの予後が若干ながら悪いという結果が得られたのです。

 パートタイムの医者がすべて悪い、ということはもちろんありません。ただ入院患者を、実際に診察する時間が短い医師が受け持つことは、それをサポートする仕組みがないと患者の予後にも悪影響を与える可能性が指摘されたのです。

 大切なことは病院の連携機能で、他の常勤の医者との連携や看護師らスタッフとの連携が、より重要になるのです。医師やスタッフ間の協力体制が、病院選択の際には、今後より重要であるのかもしれません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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