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発熱がずっと続く…「不明熱」病院に行くべきタイミングは?

がん治療認定医の小島聡子氏
がん治療認定医の小島聡子氏(提供写真)

 最近は、発熱すると新型コロナウイルス感染が疑われることが多いですが、発熱の原因はさまざまです。一般的なウイルス性の風邪症候群なら数日で解熱します。しかし、38度を超える熱が断続的に3週間以上繰り返し、病院で検査をしても簡単に原因が特定できない場合は「不明熱」と定義されています。

「市販の解熱剤で様子を見ていたが、3週間経っても熱が下がらない」と診察に訪れる患者さんもなかにはいらっしゃいますが、大病が隠れている可能性があります。

「不明熱」の原因として考えられるのは大きく分けて3つあります。一番多いのが、感染症です。ウイルス性、細菌性の感染とも発熱以外にも、なんらかの症状が出やすく、息切れが伴うと「感染性心内膜炎」、腹痛があると「大腸憩室炎」「胆のう炎」、咳や呼吸苦、全身倦怠感があるなら「結核」「マイコプラズマ肺炎」など、背中の痛みや排尿時痛があれば「腎膿瘍」「前立腺膿瘍」といった病気の可能性があります。感染症の場合、放置すると敗血症になり、重篤化します。

 次に悪性腫瘍。「悪性リンパ腫」や「腎臓がん」「肝臓がん」の初期症状として不明熱が出るケースがあります。血液検査のほか、超音波検査やCT検査などで判明します。感染症や悪性腫瘍に該当しない、3つ目の原因として膠原病、血管炎といった可能性があり、膠原病内科での診療を勧めています。たとえば「リウマチ性多発筋痛症」「全身性エリテマトーデス」や「多発血管炎」は微熱が続いて発覚するケースがあります。膠原病の患者さんは手のこわばり、顔のむくみといった症状も併発することがあります。そのほか、喉(甲状腺のあたり)の痛みを伴う発熱の場合は「亜急性甲状腺炎」も考えられます。

 発熱した場合は、まず新型コロナウイルスの抗原検査やPCR検査を行い、陰性であるのに原因不明の38度以上の熱を繰り返す場合は、検査が充実した病院へ紹介してもらうことをお勧めします。いつから、どのような症状があったか、何度の熱がいつ出たのか、記録しておきましょう。安易な抗生剤服用は推奨できません。特に、体のどこかに痛みなどの症状があれば早めに医療機関を受診してください。

▽小島聡子(こじま・さとこ) 1994年筑波大学医学専門学群卒業。2007年から、帝京大学医学部准教授。専門は、前立腺がん、アンドロロジー。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本アンドロロジー学会評議員、日本がん治療認定医機構がん治療認定医として活躍するほか、帝京大学ちば総合医療センター・泌尿器科で診療を行う。

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