コロナ不調にアロマを活用 ラベンダーは睡眠改善の論文が多数

疲労解消にもオススメ
疲労解消にもオススメ(C)日刊ゲンダイ

 コロナ禍で、芳香剤・消臭剤の売り上げが伸びている。2020年1~5月の金額前年比ランキングにおいて、前年比150%を記録している(インテージ調べ)。

 芳香剤・消臭剤のジャンルに属するのが、アロマ(芳香)だ。

「近年、医療機関におけるアロマの存在が大きく変わってきています」と言うのは、東京医療保健大学東が丘・立川看護学部看護学科の朝澤恭子准教授。植物から抽出された精油を用いて病気予防・治療、心身の健康やリラクセーション、ストレス解消を行うことをアロマセラピーというが、このアロマセラピーを取り入れる医療機関が増えてきているという。

「私はアロマサークルの顧問をしており、コロナ前までは、近隣の老人保健施設や総合病院へボランティアでアロママッサージなどをしに行っていました」

 認知症をはじめとする高齢者や出産後の女性が主な対象。「ぐっすり眠れるようになった」「疲れが取れた」「リラックスできた」などの声があり、リピーターとなる人も少なくない。

「薬ではありませんので『◎◎◎に効く』とまでは言えませんが、患者さんの心身をいい状態に持っていっているな、という感覚があります。また、代表的なアロマであるラベンダーは、睡眠中の自律神経活動に作用して睡眠を改善するという論文が多数発表されています」

ラベンダーはリラックス効果や不眠改善に効く
ラベンダーはリラックス効果や不眠改善に効く
高齢者の認知機能アップにも期待

 こういった発表もある。東京歯科大学精神科の宗未来准教授らが行った研究で、65歳から80歳までの健常高齢者約120人をランダムに半分に分け、一方にはアロマを、一方にはアルコール(プラセボ)を3カ月間、朝晩かいでもらった。研究の最初と3カ月後には、注意機能や作業記憶といった認知機能の評価テストであるPASATを実施。3カ月後、アロマ群は正答数がプラセボ群を有意に上回っていた。

 宗准教授は「これまでアロマが高齢者の認知機能を高めるというランダム化での厳密な臨床試験での報告は諸外国でもなく、今後の検証に期待が持たれる」と述べている。

 朝澤准教授が言う。

「アロマの香りの分子は、嗅覚を担う鼻腔でキャッチし、感情や本能をつかさどる大脳辺縁系に伝えられます。その情報は視床下部へ運ばれ、自律神経系や免疫系、内分泌系の機能のバランスを整えます。ストレスや疲労感などがある人は、日常的に取り入れるのもいいのではないでしょうか」

 アロマセラピーで用いる精油には、種類ごとに特有の効能がある。たとえばスッキリしたければペパーミント、食欲抑制・代謝アップ・脂肪燃焼促進を求めるならグレープフルーツやレモン、食欲不振ならナツメグやコリアンダー。初心者に朝澤准教授がお勧めするのは、ラベンダー、オレンジ、イランイラン。

「ラベンダーはリラックス効果や不安、不眠改善に良く、オレンジは幸福感アップの効能もあります。イランイランはリラックス効果のほか、催淫作用がある。成熟期の男女にぜひ使ってほしい」

 アロマは2~3種類を混ぜて使ってもOK。簡単に活用するならティッシュに精油を1~2滴たらし、身近な場所に置く。湯船に精油を1~7滴入れたり、洗面器に湯と精油1~3滴を入れ足浴をするのもいい。

「注意点としては、精油を直接肌につけない。オレンジやレモンなどは光毒性があり、使用後、日光に当たると肌トラブルが起こる可能性があるので、直射日光を避ける。妊婦や1歳未満の子供への使用は避ける。一度にたくさんアロマを使いすぎると気分が悪くなるかもしれませんので、数滴で」

 さまざまな商品が出ているが、質を考えると100%天然またはオーガニックの精油を選んだ方がいい。

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