認知症を予防する補聴器のすべて

「音が聞こえること」と「言葉が聞こえること」はまったく違う

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 はっきりと言葉を聞き取れる状態を「完成したジグソーパズル」に例えるなら、語音明瞭度が下がり言葉を聞き取れない状態は、パズルのピースが抜け落ちた状態と言えます。それを補聴器では不完全ながらも、できるだけ聞き取れる状態に微調整します。

 ただし、残念ながら補聴器をいくら調整しても、聴力に問題がない人と同じ語音明瞭度100%までにはなりません。また、語音明瞭度がかなり低くなってしまってから補聴器を使い始めても、音は聞こえるが、言葉は聞き取りづらいままとなるケースも。

 この説明をしっかりされないままに補聴器を購入すると「期待したほど聞こえない」ということに陥ってしまいます。

 70代前半の女性のお客さまがいました。補聴器を着けてから時間をかけて微調整した結果、人の言葉を聞き取れるだけでなく、換気扇や水の音なども聞こえ、「台所にはこんなに音があるのね」とうれしそうにおっしゃいました。

 年齢を重ね衰えた言葉を聞き取る力は、補聴器では完全に補うことはできません。ですから早めに脳に音の刺激を入れてあげることが必要です。

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田中智子

田中智子

シーメンスの補聴器部門でマーケティングの勤務を経て、2020年補聴器販売会社「うぐいすヘルスケア株式会社」設立。認定補聴器技能者資格保持。

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