がんと向き合い生きていく

信頼のおけるかかりつけ医を見つけられれば患者は安心できる

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 Aさん(43歳・男性)は悪性リンパ腫を患いましたが、幸いなことに初回治療でリンパ腫が消失。その後、半年ほど外来で6回の抗がん剤治療を受け、大きな問題なく終了しました。

 その際、担当医とこんなやりとりがあったそうです。

「これまで治療のため2週間に1度通院していただきましたが、今後は2カ月おきの通院となります。間隔が空きますので、もし、風邪とか何かあった時は、近くのかかりつけ医で診てもらってください。これまでの経過を診療情報提供書に書いておきましょう」

「先生、私はかかりつけ医はいません。何かあったらこちらの病院に来ます。先生、診てくださいよ。お願いします」

「もちろん、何かあったら診させていただきます。でも、かかりつけ医がいた方が安心でしょう?」

「いやいや、こちらに来た方が安心です。病気が消えて、とても感謝しています。先生に会える間隔が長くなって少し寂しいです。家の近くには皮膚科と眼科はありますが、内科はあるかなあ?」 そして3カ月後、次回診察時にAさんはこう言いました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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