秒速薬膳でアッという間に健康に

「肝」と関係が深い高血圧はセリ・トマト・昆布で対策を

セリとトマトのとろろ昆布サラダ
セリとトマトのとろろ昆布サラダ(提供写真)

 さまざまなトラブルを引き起こす原因になる高血圧。日々の食養生で、改善を図るよう努めましょう。

 中医学において、高血圧は自律神経をつかさどる臓器「肝」との関係が深いと考えます。過剰なストレスがかかると、肝がバランスを崩して高ぶり、熱を持つことで一気に血圧がアップ。頭痛、目まい、耳鳴り、目の充血、のぼせる、イライラする、不眠などの症状を引き起こしてしまうのです。

 対策としては、まず肝の熱を冷ます食材を取り入れること。

 おすすめはセリとセロリです。肝の働きを整えて、余分な熱を冷ます優れた作用があります。どちらも、高血圧による目まい、頭痛、目の充血にも威力を発揮します。セロリの場合、効能は葉の部分に多く含まれているので、捨てずに刻むなどして料理に使うようにしましょう。

 トマトも熱を冷まして血圧降下に役立ちます。とくに、朝にトマトを摂取しておくと効果大。症状が気になるときには、毎朝トマトを1個食べるとよいでしょう。トマトジュースでもよいのですが、その場合は塩分が含まれていないものを選ぶように気を付けて。

 そのほかゴーヤー、春菊も症状を改善するお助け野菜です。

 フルーツでは、これから旬を迎える柿が役立ちます。シーズン以外は、干し柿や、柿の葉茶で取り入れましょう。

 また、高血圧は食べ過ぎ、飲み過ぎや脂っこいものの過剰摂取も原因となります。体内に老廃物をため込んで水分代謝が悪くなり、ひいては血流も滞ってしまうことで、血圧が上がりやすくなるのです。メタボな人は要注意。

 こちらは体にこもった余分な熱をとり、水分を排出する食材を取り入れること。おすすめは海藻類。体をクールダウンさせる作用と利尿効果が高く、毒素や老廃物を追い出してくれます。海藻類の中でも、とくに血圧降下にパワフルな効果があるのが昆布です。高血圧による首や肩こりの改善にもおすすめです。ゴボウ、タケノコも熱を取り除いて水分代謝をアップするのに役立ちます。

 また、麺類ではそばが改善によし。栄養学的にも高血圧によいとされていますが、薬膳においてもおすすめです。そばには熱を冷ましイライラを解消して、余分な水分を排泄する効果があるのです。

 外食時には、高血圧薬膳ともいえる「わかめそば」をセレクトするのが賢い選択です。

■高血圧対策薬膳レシピ

セリとトマトのとろろ昆布サラダ

 薬膳的に高血圧対策に欠かせない食材であるセリ、トマト、昆布を使ったレシピ。昆布はとろろ昆布を使えばお手軽。ごま油の風味と、とろろ昆布のうま味でコクのある仕上がりのサラダ。日本酒のつまみにもピッタリ。とろろ昆布はたっぷり入れるのがおすすめ。

【材料】
●セリ  1わ
●トマト 1個
●とろろ昆布  適量
●ドレッシング(醤油・ごま油・酢、各大さじ1)

【作り方】
 セリは根の部分を落としてザク切り、トマトは食べやすく切ってボウルに入れる。混ぜ合わせたドレッシングを加えて、全体をあえて器に盛り、とろろ昆布をのせる。

池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

関連記事