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深夜に搬送された病院で「7万円の病室しか空いていない」と言われ…

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 ある夜、Gさん(38歳・男性)は、酔っぱらって転んでコンクリート塀に頭を打ちつけ、夜11時すぎに救急車で某大学病院へ運ばれました。CT検査では特に問題はなかったのですが、診てくれた医師から「頭のことなので大事をとって一晩入院した方がいい」と言われました。Gさんは「これは親切にありがたい」と入院を了解したのですが、1日7万円の病室しか空いていないと言われました。そこですっかり酔いがさめたそうです。

 翌朝、退院となりましたが、部屋代だけで2日分14万円(午前0時をすぎた時点で1日分を加算される)だったといいます。

■個室料金が高額で転院を希望する患者も

 本来、個室料金を払うのは、本人が個室を希望している場合で、本人の同意が必要です。しかし大部屋に空きがないなどの理由で差額ベッド代の同意書へのサインを求める病院もあるようです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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