虫歯でもないのに歯が損傷…新たに注目の「トゥースウエア」にご用心

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 コロナで歯科医院への通院をやめている人が特に知っておきたい「自宅ケアのポイント」を、先週に続いてお届けする。教えてくれたのは、大手前短期大学歯科衛生学科の関根伸一教授だ。

■いつ磨くのがベスト?

「目的に応じ、いつ磨くかより、どう磨くかが重要」

 虫歯対策を考えるなら、食後の、できる限り早いタイミングで。朝昼晩の食後だけでなく、おやつなど何かを口にしたら、その都度チャチャチャッと簡単にでもいいので磨く。

「食事で口腔内が酸性に傾くと虫歯菌が活躍しやすくなるので、早く中性に戻すのです。歯磨きの時間がなければ、水で口をゆすぐだけでも構いません。一方、歯周病対策では、朝昼晩いつでもいいので、1日1回、磨き残しがないよう丁寧に磨いてください」

■お酒を飲んだ後も歯磨きは必要?

「飲酒後もきちんと磨けるなら理想的。しかし、毎回そうはいかないでしょう。歯周病対策であれば、翌朝一番にしっかりと磨ければ問題ない。虫歯にしても、たまたまその夜磨けなかったからといって、急激に進むわけではありません。磨ける時に磨くことです」

■虫歯が多かった人は歯周病になりにくい?またはその逆も?

「菌の話だけに限って言うと、あながち間違えていません」

 虫歯菌と歯周病菌とでは好む環境が異なる。口腔内は飲食前はpH7の中性だが、虫歯菌は酸性、つまりpHが低い環境を好む。一方、歯周病菌は酸性の環境は好まない。虫歯が多い人は口腔内が酸性に傾く時間が多く、歯周病菌が活性化しづらい。その逆も言える。

「ただ、虫歯も歯周病も菌だけの問題で『なりやすさ』が決まるのではなく、物を口にする頻度、歯の強さや形、体質、ほかの疾患など、さまざまな要因も絡んできます。虫歯が多かったから歯周病は大丈夫(その逆も)と思って手入れを怠っていれば、歯周病治療でつらい思いをするばかりか、将来食べられるものが限られてしまいます」

■電動歯ブラシは使った方がいい?

「使って楽しいなら、ぜひどうぞ。ただ、電動歯ブラシを使っているけど磨き方が不十分だったり、歯茎に当てすぎて傷の原因になっていたりすることも。歯にフィットして磨けているかの確認を。なお、歯ブラシだけではほとんどの人が磨き残しがあるので、歯間ブラシやフロスの併用を強くお勧めします」

■歯はどの部分から磨いた方がいい?

 上の右奥歯の表側から磨き始め、その後、裏側を同じように磨いたら下の右奥歯表側へ……。人によって磨く順番の癖があるだろう。

「全ての歯を念入りに磨けていればいいですが、歯磨きは最後の方になると、集中力が途切れて磨き残しが多くなりがち。磨く順番を時々変えてみたり、市販の染め出し液を用いて磨き残しが多い箇所を調べ、そこから磨き始めるようにした方がいい」

■歯の2大疾患は虫歯と歯周病?

 最近は、虫歯と歯周病にトゥースウエアが加わった3大疾患が注目を集めている。

 トゥースウエアとは虫歯でもないのに歯が損傷することで、歯のすり減り、摩耗、酸性の食品で歯が溶ける酸蝕などがある。

「歯の噛み合わせや歯ぎしり、歯の噛みしめ癖、歯の磨き方など、歯科医師と話し合いながら原因を突き止め、それぞれの対策を講じなくてはなりません。自分でできる対策としては、酢や酢の入ったドリンク、炭酸飲料、柑橘類、ビタミンドリンクなどは酸性で歯が溶けやすくなるので、日常的に飲まないようにすることです」

 いつまでも自分の歯で料理を食べられるように歯の正しいケアを。

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