キャスターの小倉智昭さん(74)が、膀胱がんが肺に転移したことを公表。6日から入院して抗がん剤治療で完治を目指すと報じられました。
2018年11月に膀胱がんを手術で全摘されると、自らの腸でつくった代用膀胱での生活やリハビリなどの様子を伝えています。報道によると、肺への転移が見つかったのは今年9月。体調に変わりはなく、定期的な検査で発見されたとのこと。10月いっぱい入院し、その後はリハビリなどを経て復帰を目指すといいます。
復帰後の目標を元気に語る姿は、小倉さんならではでしょう。「抗がん剤治療をやるっていうのが自分でも信じられない。痛くもかゆくもないからね」と話していました。
読者の中には、その言葉に驚くかもしれませんが、どんながんであれ、転移があっても元気なことはよくあります。特に定期検査で見つかるケースは、転移ができた早期のことが多いのでなおさらです。
膀胱がんが転移しやすいのは肺、リンパ節、肝臓、骨などで、抗がん剤治療には4種類を組み合わせるM-VAC療法と2種類を用いるGC療法があります。現在は、GC療法が主流。Gはゲムシタビン、Cはシスプラチンを表しています。
どちらも点滴で投与。4週間を1コースとして繰り返し行います。まず1日目にゲムシタビン(約5時間)、2日目にシスプラチン(約9時間)を点滴し、8日目と15日目にゲムシタビンを点滴します(約1時間)。
白血球や血小板が減少する骨髄抑制、食欲不振や吐き気などの消化器症状などの副作用があるため、4日目までは副作用を抑える点滴も必要です(約6時間)。一般にコースのはじめの1週間は入院で行い、週に1回の点滴となる8日目以降は体調がよければ外来でも治療できます。
次のコースも、この繰り返しです。効果や副作用をチェックしながら、次のスタートを判断します。
その効果は、約50%はがんが縮小、約10%はがんが消失します。しかし、その持続期間は平均で10カ月ほど。効果が短いのがネックです。
そこでGC療法が効かなくなったり、副作用で継続が難しくなったりすると、免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダで治療します。
がん細胞は、自らを攻撃する免疫の仕組みを狂わすことで、免疫から逃れるのですが、免疫にかかるブレーキを外し、がん細胞への攻撃力を高めることでがんの縮小効果を示すとされます。
キイトルーダも点滴で1回45~60分ほど。比較的副作用が軽いため、3週間間隔で続け、効果が認められる間は継続していくことになります。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵