名医が答える病気と体の悩み

腕にできたしこりはどう処置する?良性なら放置して大丈夫か

総合内科専門医の塚本浩氏
総合内科専門医の塚本浩氏(提供写真)

 前回、腕や足をはじめ、皮膚を通して体表から触ることができるしこりの特徴についてお話ししました。

 ほとんどが「良性」ですが、「悪性」の場合は、例えば乳房の「乳がん」、喉仏の下の「甲状腺がん」であれば主に外科手術や抗がん剤による治療をします。首やわきの下、足の付け根といったリンパ節にできる「悪性リンパ腫」は、白血球の中のリンパ球という細胞ががんになったものなので、抗がん剤による治療が基本になります。手足の筋肉や骨にできる「骨肉腫」「脂肪肉腫」なら、放射線治療や化学療法に加えて、病変がある主要な部位を切断するケースもあります。

 一方、「良性」のしこりの場合は放置しても構いません。多いのが、脂肪の塊である「脂肪腫」で、ぽつんと1個できるのが特徴。3年で一回り大きくなる程度で、気にならない方も多いですが、数年以上経過し大きくなり、「首の後ろにできたしこりが枕に当たって痛い」「前腕にあって目立つ」といった相談は少なくありません。

 処置は皮膚科や形成外科で、外科的切除をします。小さなしこりであれば局所麻酔をし、直上の皮膚を切開して腫瘍を摘出、しっかりと止血し縫合します。日帰り手術も可能です。また、中にゼリー状の物質が詰まった腫瘤「ガングリオン」は、注射器で腫瘤の物質を吸引する処置や皮膚の上から腫瘤を押しつぶす治療法もあります。繰り返しできるようなら、局所麻酔による外科手術によって取り除きます。

 最後に皮膚の下に毛穴の袋ができて、角質(垢)がたまることでできる「粉瘤」は、くりぬき法があります。局所麻酔をし、専用のメスを使って粉瘤の部分に丸い穴を開け、物質を絞り、出しきります。粉瘤がしぼんだら、袋の壁になっていた部分を切除します。いずれも、保険適用の治療が可能です。

▽塚本浩(つかもと・ひろし) けんせいクリニック院長。帝京大学医学部神経内科助教、同医療技術学部臨床検査学科准教授、東京医科大学茨城医療センター脳神経内科臨床准教授を務める。日本神経学会専門医、日本内科学会認定医、臨床研修指導医。

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