「僧帽弁は、左心房と左心室の間にある弁です。弁膜症のひとつである僧帽弁閉鎖不全症は、僧帽弁逆流症とも呼ばれ、僧帽弁がうまく閉じなくなることで心臓が収縮するたびに左心室から左心房へと血液が逆流し、心臓に余計な圧がかかったり、肺に血液がたまったりする病気です。強い息切れや呼吸困難、疲れやすさ、不整脈、動悸などの自覚症状が出る場合もありますが、血液の逆流が軽度の場合は自覚症状がなく、その間に症状が進行することがあるのです」
僧帽弁閉鎖不全症を放っておくと、心房細動を起こす場合がある。心房の筋肉がけいれんしたように細かくふるえ、脈が不規則となる病気で、この病気を発症すると心臓の中で血液が滞留してしまい、血栓(血の塊)ができやすくなる。それが血流に乗って脳まで運ばれ、脳の血管に詰まる脳梗塞を起こすことがある。また、心房細動になると脈拍が毎分120~150回に跳ね上がることがあり、心臓が耐えきれなくなって心不全を起こす場合もある。
心臓手術の名医が語るコロナ禍の治療最前線