心臓手術の名医が語るコロナ禍の治療最前線

ロボット心臓手術は何が凄い? 体だけでなくフトコロにも優しい

ニューハート・ワタナベ国際病院総長の渡辺剛氏(提供写真)

「ロボット支援下手術は、人間の手よりも可動域が広い3本のアームを自由に動かして手術部位の視野を良好に保つことができます。そのため、精密な手術が可能です。また、基本的には通常のMICSの切開(7~8センチ)より小さな穴で手術を行うことができるというメリットがあります」

 ダビンチによるロボット心臓手術の場合、ニューハート・ワタナベ国際病院では外来での診察から入院までの期間はおおむね7日間。手術の2日前に入院してCT検査を受け、ダビンチ手術後3~7日後に退院するパターンが多いという。

「僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術の場合、切開は4カ所で傷の大きさは直径1センチほどです。いずれの切開でも骨を切らないため身体的な負担は少なく、手術の翌日から歩行と食事ができ、リハビリも開始します。通常、術後2日目に点滴が終了となり、術後2~3日でシャワーを浴びることが可能です。3~7日間で退院できる状態になります」

 ニューハート・ワタナベ国際病院でのダビンチによるロボット心臓手術(僧帽弁・三尖弁形成術)の費用は、自己負担額約15万円(年収が約370~770万円の70歳未満の人で公的保険が使える場合)が目安になる。

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渡辺剛

渡辺剛

1958年東京生まれ、ニューハート・ワタナベ国際病院総長。日本ロボット外科学会理事長、心臓血管外科医、ロボット外科医、心臓血管外科学者、心臓血管外科専門医、日本胸部外科学会指導医など。1984年金沢大学医学部卒業、ドイツ・ハノーファー医科大学心臓血管外科留学中に32歳で日本人最年少の心臓移植手術を執刀。1993年日本で始めて人工心肺を用いないOff-pump CABG(OPCAB)に成功。2000年に41歳で金沢大学外科学第一講座教授、2005年日本人として初めてのロボット心臓手術に成功、東京医科大学心臓外科 教授(兼任)、2011年国際医療福祉大学客員教授、2013年帝京大学客員教授。

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