進化する糖尿病治療法

継続して実行できる「短期的な目標」と「長期的な目標」を持つ

自信につなげることが大事(C)PIXTA

 糖尿病患者さんには、甘いものを好む肥満気味の人が結構います。「甘いものは控えめに」と言うのは簡単ですが、患者さんに実行してもらうのは難しい。

 私が提案するのは、たとえば長期的な目標を「半年間で3キロ減」「1年かけて適正体重まで持っていく」「3カ月でヘモグロビンA1cを何%まで下げる」など。短期的な目標としては、「夕食の時間を少し前倒しに。あるいは、量を少しだけ控えめに」といった食事全般に対することを提案します。

 具体的な食品に対して言うなら、「洋菓子を、和菓子に替えましょう」「生クリームたっぷりのケーキを、プリンにしましょう」「毎日甘いものを食べるのではなく、1日置きにしましょう」「砂糖入り缶コーヒーを、微糖のコーヒーにしましょう」など。

 人によって、実行可能な内容は異なります。「和菓子じゃ食べた気がしない。生クリームたっぷりのものが大好きなんだ!」という人には、1週間のどこかで好きなものを存分に食べる「ご褒美の日」を設けることを提案するかもしれませんし、ほんの一口でも満足できる人には、それに見合った方法を提案します。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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