がんと向き合い生きていく

抗がん剤がネックになり介護老人施設に入所できない患者も

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 かつて、私の両親が寝たきりになって、妻が在宅で介護にあたりました。食事を用意し、1日に何回も老人2人の尻を拭く……それをひとりでこなしていたのです。

「2人を24時間、いつまで続くかわからない。赤ちゃんのおむつを取り替えるのとは違うのよ」

 こう言いながら、妻は頑張りました。

 ある年の正月、私が父母の介護を担当しました。3日間、頑張ってみましたが、大変な作業です。特におむつの交換は臭い、とても大変です。特別養護老人ホームの入所待ちは何百人もいて、何年も待つというので無理でした。運良く両親は老健にお願いすることができましたが、期限があり、3カ月後には他の施設を探して移らなければなりませんでした。

 老健や特別養護老人ホームでの介護士さんの仕事は大変です。介護士さんたちは、寝たきりの老人をお風呂に入れ、おむつの交換は毎日、嫌な顔もせずに、明るく、優しく頑張ってくれています。大変な仕事を一手に引き受けてくれているのです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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