独白 愉快な“病人”たち

腎臓の働きは現在60% 作家・久間十義さん難病との闘い語る

久間十義さん(提供写真)

 1カ月間、仕事もせずに安静に過ごしました。それでも頭痛が治らないので大学病院を紹介してもらって受診しました。でも血腫は見当たらず「誤診」だとわかり、ほかに異常は見つかりませんでした。私は、あのときじつはネフローゼになりかけていたのに降圧剤によって一時的に治ってしまっていたのだと推察しています。降圧剤は腎臓にも効くらしいので……。

 そこから不調をだましだまし過ごした結果、2011年に入院になったのです。

 ネフローゼ症候群は、腎臓のろ過機能を担う糸球体の炎症により尿の中にタンパク質が漏れ出てしまい、血中のタンパク質が減少する病気です。炎症を抑えるために、初めに大量のステロイドを投与し、徐々に減らしながら血中タンパク質を正常値にしていくのが主な治療です。

 幸い私のネフローゼは非常に単純でステロイドがよく効くタイプだったので、2カ月半で寛解して退院できました。人によっては良くならず、人工透析や腎臓移植になる難病です。それを考えれば私はかすっている程度です。

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