独白 愉快な“病人”たち

腎臓の働きは現在60% 作家・久間十義さん難病との闘い語る

久間十義さん(提供写真)

 ただ、入院中に「IgA腎症」という別の病気が見つかり、糸球体が炎症する原因は自己免疫だと判明しました。自らの免疫が自らの腎臓を攻撃していたのです。ネフローゼが治ってもIgA腎症は残ってしまうかもしれないとのことでした。この病気もまた、将来的には腎不全の危険が伴う難病指定の病気です。

 入院中にやることがないので、ネット検索や腎臓関係の書物を何冊も読み漁りました。結果、IgA腎症には「扁桃摘出ステロイドパルス」という治療法があることを知りました。当時は最新の治療法でしたし、もしかしたら過剰な治療だったかもしれません。でも自分の判断で手術を決意して、退院後にその治療を実践している先生に診てもらうため、すべてのカルテを持って仙台の病院まで行きました。

 扁桃摘出ステロイドパルスは、扁桃腺を取り除き、大量のステロイド投与を、期間を空けて2~3回繰り返す治療です。扁桃腺と腎臓にどんな関係があるかというと、喉に細菌やウイルスが付くと扁桃腺が炎症を起こしますよね? そこで抗体ができます。抗体ができると腎臓を攻撃してしまうのがIgA腎症です。つまり、扁桃腺が万病のもと。扁桃腺がなければ腎臓が炎症を起こすことは圧倒的に減るのです。

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