独白 愉快な“病人”たち

腎臓の働きは現在60% 作家・久間十義さん難病との闘い語る

久間十義さん(提供写真)

 病気をしたことで良かったことは、病室で2人の人と仲良くなったこと。そのうちの1人が宇和島で腎臓移植を受けまして、彼の提案で小説をひとつ書きました。宇和島のその先生が行っている「病気腎移植」(悪いところを取り除いた腎臓を移植すること)が一部で批判されていた中、その是非を問うような医療小説です。

 だからといって病気で死生観が変わったり、執筆活動に変化はありませんでした。私は「生きることが小説だ」というタイプの人間ではないのでね(笑い)。

(聞き手=松永詠美子)

▽久間十義(ひさま・じゅうぎ)1953年、北海道生まれ。早稲田大学卒業後、学習塾を立ち上げ講師をしていたが、30歳で小説家に転身。1987年、豊田商事事件をモデルにした「マネーゲーム」で第24回文藝賞佳作となり、注目を浴びる。その後、「世紀末鯨鯢記」で第3回三島由紀夫賞受賞。TVドラマ化された「刑事たちの夏」をはじめ、「笑う執行人 女検事・秋月さやか」「限界病院」など多くの作品がある。

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