独白 愉快な“病人”たち

整体が回復のきっかけに…作家の今野敏さんパニック障害を語る

今野敏さん(C)日刊ゲンダイ
今野敏さん(作家/66歳)=パニック障害

 26、27歳の頃になんとなく食事がしにくくなったのが、今思うと「パニック障害」の始まりだったと思います。

 大学在学中に新人賞を取ったとき、賞を主催していた出版社の担当が、「うちの新人賞を取って食っているヤツはいないから就職した方がいい」と言うので、「3年間だけ」と決めて就職しました。

 小説を書きながら勤務して、予定通り3年で会社を辞める頃、いつも食べているものを見て「食べるの嫌だな」と思うようになったのです。常に外食でしたが、見ると「ウッ」となる感じで、「何だろうこれは……?」と思いました。

 会社を辞めて家に引きこもるようになるとそれがエスカレートしていき、いつのまにか電車に乗るのが不安になっていました。「乗ったら気分が悪くなるんじゃないか」と思い、外出が嫌でした。外食では、注文してから料理が出てくるまでが不安で耐えられない。何が不安かわからないけれど、「このまま倒れるんじゃないか」といったことを考えていました。

1 / 5 ページ

関連記事