新型コロナワクチン副反応を徹底検証【心筋炎】炎症が広がると心不全を合併するケースも

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「新型コロナワクチン接種後に、ごくまれに、心筋炎・心膜炎を発症した事例が報告されています」

 10月15日、厚労省が急きょホームページ上でこんな注意喚起を始めた。それによると、「10代・20代の男性では、武田/モデルナ社のワクチンより、ファイザー社のワクチンの方が、心筋炎・心膜炎が疑われた報告の頻度が低い傾向がみられた」「ファイザー社のワクチンを希望する場合は、予約を取り直せばファイザー社のワクチンを受けられる」としている。

 ワクチン接種の副反応として心筋炎を発症するリスクがあることは、当初から国内外で指摘されていた。厚労省が10月22日に公表した「医療機関からの副反応疑い報告状況」によると、2月17日から始まったファイザーのワクチン接種後に心筋炎を発症した例は72件で、5月22日から始まったモデルナでは65件となっている。同じく「製造販売業者からの副反応疑い報告状況」では、ファイザーが112件、モデルナが82件。

 推定接種回数はファイザーが1億4144万2370回、モデルナが2770万1010回だから、頻度はモデルナの方が高い。

 また、厚労省のデータによると、ワクチン接種後の心筋炎は、モデルナで12~19歳男性が100万人当たり28.83人と最も多く、20~29歳男性が25.65人で続いている。ファイザーでは20~29歳男性の9.62人、12~19歳男性の3.69人が上位で、若年層に多く見られるのが特徴だ。

 東邦大学名誉教授で循環器専門医の東丸貴信氏は言う。

「心筋炎は心臓の筋肉細胞などに炎症が起きる病気で、ウイルス感染により炎症が生じるウイルス性心筋炎が最も多いといわれます。ワクチン接種によって、なぜ心臓の筋肉に炎症が起こるのかについては、いまのところはっきり分かっていません。新型コロナのmRNAワクチンが体内で作り出すスパイクタンパク質に対する自己免疫反応や、mRNAなどのワクチン成分に対する免疫の過剰反応でサイトカインストームが生じ、心筋細胞などを攻撃して炎症を引き起こすのではないかと考えられています」

 一般的な心筋炎はほとんどが軽症で、なんとなくだるい、胸が痛い、軽い息切れがあるといった症状が出て、自然に軽快するケースが多いという。ただ、急性心筋炎が劇症型に移行すると、急激にショック状態になって死に至る場合もある。

「また、炎症が心膜に及ぶと心膜炎になったり、炎症が心臓全体に広がると心不全や不整脈を引き起こし、突然死を招く可能性があります。心筋炎が数カ月たっても軽快せず慢性化すると心臓が肥大拡張して心筋症につながるケースもあります」

■治療は薬物による対症療法が中心

 軽症であれば、そのまま経過を観察して治癒を待つ。炎症が強い場合は、過剰な免疫反応と炎症を抑えるためにステロイドが投与されるケースもある。ステロイドを使う際は、炎症を引き起こしているウイルスの量がある程度減ってからでないと、逆に回復が遅れてしまうため注意が必要だという。

「心機能が落ちて心不全を合併したケースでは、薬物療法が行われます。交感神経を抑えるβ遮断薬、降圧薬でもあるACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬、ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)といった薬を基本として、利尿薬が使われることもあります。また、不整脈を合併している場合は、抗不整脈薬を使って治療します。いずれにせよ、ウイルス性心筋炎そのものを治療するわけではなく、合併する心不全や不整脈への対症療法が中心です」

 適切な治療を行うためにも、心筋炎は早期発見が重要になる。接種後1週間ほどは激しい運動は避ける。その上で、「ワクチン接種後4日程度の間に胸の痛み、動悸、息切れ、むくみなどの症状がみられた場合は、速やかに医療機関を受診して、ワクチンを受けたことを伝えてください」と厚労省が注意を促しているように、ワクチン接種後に、いつもとは違う異変を感じたら、すぐに医療機関を受診したい。

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