海外論文に見る副反応

新型コロナワクチン 心筋梗塞や脳梗塞との関連はあるのか

英アストラゼネカ社のワクチン接種(C)ロイター

 新型コロナウイルスワクチンの中でも、アストラゼネカ社が開発したウイルスベクターワクチンでは、血栓症に関連した副反応が懸念されています。その発生頻度はごくまれではありますが、血液の塊である血栓が脳の血管に詰まってしまうと脳梗塞に、心臓の血管に詰まってしまうと心筋梗塞を発症してしまう可能性もあります。

 とはいえ、アストラゼネカ社に限らず、すべての新型コロナウイルスワクチンは開発されてから日が浅く、脳卒中や心筋梗塞など、重篤な副反応との因果関係についてはよく分かっていません。

 そんな中、同ワクチンの副反応リスクを検討した研究論文が、米国医師会誌に2021年10月1日付で掲載されました。

 この研究は米国のワクチン安全性データリンクに登録されている620万人(平均49歳、接種された新型コロナウイルスワクチン1184万5128回)が対象となっています。ファイザー/バイオンテック社製、もしくはモデルナ社製のワクチンを接種してから1~21日後の人と、接種から22~42日前の人を比較することで、心筋梗塞や脳卒中など重篤な副反応リスクを検討しています。なお、研究結果に影響を与え得る年齢、性別などの因子について統計的に補正して解析されました。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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