最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

自宅で家族が息を引き取った時、どうすればいいのか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 その患者さんは、急性リンパ性白血病と外傷性くも膜下出血を患う85歳男性。一軒家の1階に患者さん、2階に息子さんが住んでいました。

 在宅医療は、その息子さんからの申し出によりスタートしたのでした。息子さんから伺った話によると、奥さん(息子さんにとっては母親)へのDVがあり、そのために別居。

 息子さんは独身で、ひとつ屋根の下に住んではいるものの、交流はなく電気がついているかどうかで生存確認をする程度。しかし病気のことを知り、「一人で孤独に死んでいくのはかわいそう」「これで最後かもしれないから」という気持ちが芽生え、母親や結婚している姉へも呼びかけ、ご家族が再び気持ちをひとつにして、患者さんの残された時間を見守ることになったといいます。

 そうして在宅医療を開始しておおよそ2カ月後、患者さんは旅立たれました。短い残された時間の中、患者さんにまだ食欲がある頃には、孫たち(お姉さんの子供)も訪れ、かつて家族がひとつ屋根の下に暮らしていた時、夕ご飯によく食べたギョーザをみんなで召し上がったそうです。

2 / 3 ページ

下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

関連記事