最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

“在宅”通して毎日誰かと会い見守られる生活を送れるように

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 その患者さんは76歳の元トラック運転手さん。脳梗塞、高血圧症、痛風、慢性心不全、腰痛症、変形性膝関節症、認知症など複数の病気を患っていました。病気の影響で歩くのが不自由。また、火の不始末や転倒を起こすこと複数回。時には救急車で運ばれるようなこともあり、ADLが確保できているとは言い難い状態だったのですが、入院せず、ひとり暮らしを続けていました。しかし、通院が困難となり、在宅医療のスタートとなったのです。

 在宅医療では、ADLを維持向上するために、訪問看護による下肢筋力トレーニング、腰回りのストレッチ、マッサージ、下半身を中心とした運動によるリハビリを実施。歩行能力の改善を図り、さらにデイサービスでは集団での体操や運動、個別機能訓練、口腔機能の指導、そしゃく訓練などを行っていきました。病気治療に関しては、当院が2週間に1回の割合で定期的に医師が訪問。つまり、訪問診療、訪問看護、デイサービス、訪問薬局、ケアマネジャー、福祉用具レンタルなど複数の人で、この患者さんを支えることになったのです。

2 / 3 ページ

下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

関連記事