ギリシャ神話にも登場しているザクロはもともと海外で多く食用とされ、ザクロの根の皮と樹皮に整腸や駆虫作用があることから、漢方にも使われています。日本では主に観賞用が多かったのですが、近年、その健康効果が注目されるとともに、国内でもザクロの果汁や果肉を、ジュースや料理に使うことが増えています。
赤いカクテルに使われるグレナデンシロップは、もともとザクロの果汁から作られていたともいわれています。
含まれる栄養素のうち、注目したいのがアントシアニンとエラグ酸、タンニンです。いずれも抗酸化作用があり、がんや生活習慣病の予防効果が期待されています。
アントシアニンは赤い色のもととなる成分で、目の働きを向上させるともいわれています。
エラグ酸はメラニンの生成を抑える働きがあります。最近の研究では、シミの生成を防ぐ効果があるとされています。さらには血糖値を上昇させ、肥満や糖尿病に関わるホルモン「レジスチン」の分泌を抑える働きも報告されています。
タンニンは抗菌効果もあるポリフェノールです。漢方における整腸や駆虫作用のもとの成分のひとつと考えられるでしょう。
近年、ザクロには女性ホルモンが含まれているとされ、注目を集めました。女性にうれしい栄養素が豊富なのでそういわれたのかもしれませんが、残念ながら国民生活センターによる調査によると、ザクロの果汁、種子からも女性ホルモンは確認できませんでした。ただ、ザクロの種子にクメステロールと呼ばれる女性ホルモンに似たイソフラボンの仲間は検出されたようです。
とはいえ、報告されているザクロの健康効果は微量に含まれるクメステロールより、分量の多いポリフェノールが抗炎症・抗酸化作用を発揮しているためだと考えられている報告が多いので、女性に限らず幅広い年代層に食べてほしい食材です。
ちなみに、高齢者にザクロジュースを飲んでもらったところ、血液中の抗酸化作用の向上に加えて、記憶テストの成績がアップしたという報告も。脳の血流量が増えたためと考察されているので、朝食で食べ、シャキッとした思考回路を手に入れてみてはいかがでしょうか。
時間栄養学と旬の食材