解熱鎮痛剤は正しく使わないと深刻な副作用が出るケースあり

写真はイメージ(C)PIXTA

「NSAIDsは、体内で炎症、発熱、痛みを引き起こす『プロスタグランジン』という物質がつくられるのを抑えることで症状を改善します。発熱以外には、頭痛、生理痛、歯痛、関節痛、腰痛、肩痛といった症状や、外傷後、手術後、抜歯後などに消炎と鎮痛を目的に使われます。ただ、効き目が強く副作用も多いため、一般的に小児には使われません。長期の使用もリスクを高めます」

 NSAIDsには、胃潰瘍や十二指腸潰瘍といった消化管障害の副作用リスクが知られている。NSAIDsが産生を抑えるプロスタグランジンは、シクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素によってつくられていて、NSAIDsはCOXの働きを阻害して効果を発揮する。COXには内皮細胞を保護して粘膜を修復させる働きがあり、NSAIDsがそれを阻害してしまうため、消化管障害が起こるのだ。

「また、血管の内皮細胞の保護作用も抑制するため、インフルエンザなどのウイルス感染症で高熱が出て、脳の血管が炎症を起こしている時にNSAIDsを服用すると、血管の修復を阻害して脳血管に損傷を招き、脳症の悪化につながるのではないかと考えられています。そのため、厚労省は小児に多いインフルエンザ脳炎や脳症患者に対してNSAIDsの投与を禁忌としています」

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