進化する糖尿病治療法

低血糖は最初が肝心 繰り返すと重症化して気付きにくくなる

事故のリスクも高まる(写真はイメージ)/(C)PIXTA

 ところが自宅に帰り、夫の仕事部屋に様子を見に行くと、夫がぐったりと椅子にもたれかかっており、何も話せない状態。慌てて救急車を呼んだそうです。

 後ほどわかったのは、夫は仕事に没頭していて食事時間を過ぎているのに気が付かず、低血糖を起こしてしまったということ。低血糖を起こしてそれほど時間がたっていないときに女性が帰宅したため、大事には至りませんでした。

■対処が遅れれば命の危険

 低血糖には起こしやすいタイミングがあります。

 まず、食事の量が少なかったり、食事の時間が遅れたりしたとき。次に、運動量が多すぎたり、空腹時に激しい運動を行ったとき。さらに、インスリン注射量が不十分だったとき。

 これ以外で私が特に注意しているのは、新しく糖尿病の薬を追加した時です。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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