進化する糖尿病治療法

低血糖は最初が肝心 繰り返すと重症化して気付きにくくなる

事故のリスクも高まる(写真はイメージ)/(C)PIXTA

 また、薬の中には低血糖を起こしやすいタイプもあるので、その場合も注意が必要です。低血糖らしき症状を感じたら、速やかにブドウ糖を摂取し、15分ほど経っても改善しなければ、もう一度ブドウ糖を摂取する。どういう症状が低血糖なのか、その危険性、そしてもしもの時の対策を、患者さんに何度も伝えるようにしています。

 低血糖は最初にしっかりと対処すれば、過度に恐れる必要はありません。

 低血糖を心配するあまり、自己判断で薬の量を減らす患者さんが時折いますが、血糖コントロールの不良につながりかねないので、主治医と相談した上にしてください。

「最初にしっかりと対処すれば」と言いましたが、低血糖は起こさないことに加え、繰り返さないことも非常に重要になります。繰り返すと、低血糖に気が付きにくくなり、ブドウ糖の摂取が遅れ、自分では対処できないようになるからです。これを「重症低血糖」と言います。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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