秒速薬膳でアッという間に健康に

「気」を補うナガイモ・卵・鶏肉・枝豆で疲労を回復する

パワフル薬膳そば
パワフル薬膳そば(提供写真)

 最近、なんだか疲れやすい。ぐっすり寝てもなかなか疲れがとれない……。病院に行くといってもどこで診てもらえばいいかわからない「疲労」。こんなときこそ、薬膳の出番です。

 疲れやすい状態、それは中医学では「気が不足した状態」と考えます。「気」とは全身の至るところを流れている目には見えないエネルギー。やる気、本気、気分がよい、気が合う……といったように気という言葉はよく使われますが、気はすべての基本。生命活動を維持する働きを持ち、不足すると常に倦怠感や疲労感があるといった状態に陥ってしまうのです。

 とくに冬は、気が不足しがちな季節。気には体を温める「温煦(おんく)作用」があり、体温を一定に保つことで臓器を正常に働かせています。冬は寒さから身を守るために、気が消耗されやすいのです。

 また、気には体を守る「防御作用」もあります。気が不足すると、その働きが弱まり、ウイルスや細菌などが侵入して風邪の原因となるのです。疲労回復だけでなく、冬の健康維持のためにもしっかりと気を補うことが重要です。

 気を補い、疲労回復に役立つのがイモ類。中でも、ナガイモはとくに効果絶大です。ナガイモは薬膳において気を補う代表的食材とされ、「山薬(さんやく)」の名で生薬としても使われています。気をしっかりチャージするとともに、消化もよく、滋養強壮、疲労回復、体力増進に効果的な、まさに「食べる栄養ドリンク」ともいえる野菜です。

 ほかにもさまざまな効能があります。アンチエイジング、乾燥肌、シワ、更年期障害、糖尿病、慢性下痢、精力増強……薬膳には頻繁に使われる頼もしい食材がナガイモなのです。

 卵も弱った体に力をつけるパワーフード。古来、卵は中国の王様へ必ずお土産物として使われるほど「栄養の源」として重宝されていました。中医学でいう五臓「肝」「心」「脾」「肺」「腎」すべての臓に入ってパワーを補ってくれます。そのほか、鶏肉、キノコ類、豆類、ブロッコリー、ウナギ、エビ、ハチミツも疲れた体をいたわるおすすめ食材です。

 また、気を付けたいのは基本的に疲れているときは、「内臓も疲れている」ということ。バテているときによくある「きょうは焼き肉屋でガッツリ食べて、元気をつけよう!」はありえません。体に負担がかかってますますくたびれてしまうので、慎みましょう。

■疲労回復改善薬膳レシピ

パワフル薬膳そば

 気を補うナガイモ、卵、鶏肉、枝豆を組み合わせ、しっかりと体力を養う疲労回復レシピ。コンビニのとろろそばに、トッピングすれば手軽に完成。焼き鳥で香ばしさが加わったそばは、ブラックペッパーでいただくとおいしさが倍増します。

【材料】2人分
●とろろそば  2個
●焼き鳥缶(塩味70グラム)  1缶
●ゆで枝豆  20さや
●温泉卵  2個
●ブラックペッパー  適量

【作り方】
 器にとろろそばを盛り付け、焼き鳥缶の身、さやから出したゆで枝豆、温泉卵をのせて、つゆをかける。ブラックペッパーを振って食べる。

池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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