名医が答える病気と体の悩み

しっかり寝ているのに眠気がひどい…考えられる病気は?

心療内科医の田中奏多氏
心療内科医の田中奏多氏(提供写真)

 しっかり睡眠をとっているのに日中に突然強い眠気が出現する原因のひとつは「睡眠時無呼吸症候群」です。寝ている時に無呼吸状態になって、血液中の酸素量が低下するため、睡眠の質が落ちます。眠気がひどいと感じると同時に、家族にいびきを指摘されたり、朝、喉がカラカラに渇いて目が覚めたり、イライラしやすいなら、心療内科や呼吸器内科の睡眠外来にかかりましょう。

 ほかには、初期の「うつ病」です。テレワークによって生活リズムが崩れ、心療内科に通う患者さんが増えました。うつ病による症状には、不眠症と過眠症のどちらもあります。通常、人間の体内時計は1日1時間しか早起きできません。休日に起きる時間が2時間以上ズレる人は、リズム障害が起きていると考えられます。

 また、大量の飲酒が続くと、肝硬変まで進行することもあります。体内でアンモニアが増加し、意識障害が起こることがあります。常に睡魔が払えない状態になります。あるいは断酒による離脱症状として、強い過眠の症状が出るケースもあります。

 しっかり睡眠をとっているのに日中に突然強い眠気が出現する「ナルコレプシー」も過眠症として知られますが、発症は一般的に10代が多く、中高年の方なら可能性としては考えにくいといえます。

▽田中奏多(たなか・かなた)福島県立医科大学卒業。2014年に「働く人を支える」薬に依存しない医療を展開するBESLI CLINICを協同創設。ハーバード大学TMS(磁気刺激治療)コースを修了後、精神科教授、神経内科専門医、脳外科領域で脳波を専門としていた臨床工学技士とともに世界最新の日本人に合わせたTMSの技術指導、統括を行っている。現在、東京TMSクリニック院長を務める。

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