最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

訪問看護師は医師と遜色ないケアを行い心のサポーター役も担う

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 この方は春に在宅医療をスタートさせ、その年の冬に旅立たれたのですが、その間、当院では1週間に2回(水・土)訪問し、訪問看護は毎日介入するというシフト体制で進めていきました。

 当初からご本人、ご家族ともに、余命が長くないと覚悟していた様子で、再入院や救急外来受診の頻度を減らし、QOLを向上させるため、在宅医療の運びとなったのでした。

 訪問看護師さんが患者さんのむくんだ脚をマッサージしたり、体を拭いたりしていく中で、ご家族の信頼もいただくようになり、奥さまからこんな言葉が……。

「看護師さんが来てくれて、家で注射を打ってくれて、それだけでうれしいです」

 やがて患者さんと奥さまがプランターで家庭菜園を始めるほど明るい雰囲気のまま、最期まで療養を続けられました。そして患者さんの心肺停止を確認し報告したのも訪問看護師さんでした。

 そんなご家族の明るい心を育む力も、訪問看護師さんにはあるのです。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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