医者も知らない医学の新常識

寝たきり予防の“切り札”は友達! 米国の内科専門誌で報告

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 日本は超高齢化社会となり、高齢で一人暮らしの世帯が急増しています。一人暮らしの高齢者は、脳卒中や心筋梗塞の予後が悪く、うつ病などの精神的な病気のリスクも高く、不慮の死も多いことが知られています。つまり、高齢者の一人暮らしは、それ自体が大きな健康リスクなのです。クリニックで往診を依頼されるケースでも、その多くが一人暮らしの高齢者の体調不良です。

 それでは、すべての一人暮らしの高齢者が危険かというと、そうも言い切れない部分があります。同じ一人暮らしでも、本当の天涯孤独という人もいれば、自由が好きなので一人で暮らしているけれど、困った時には助けてくれる友達も親戚も近くにたくさんいる、というような人もいるからです。

 今年の米国医師会の内科専門誌に、その問題を検証した論文が掲載されています。アメリカにおいて、65歳以上の一人暮らしの高齢者を、何かあったら助けてくれる親戚や友達がいるかどうかで分けて分析したところ、自立した生活が困難になって老人ホームに入るリスクは、親戚や友達がいない高齢者の方が高くなっていました。そして、病気で入院したり重い病気にかかったりした場合には、そのリスクはより高いものになっていたのです。

 一人暮らしの高齢者にとって、友達は寝たきり予防の“切り札”といってもよさそうです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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