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日本のコロナ感染者が激減した理由を海外メディアはどう伝えているのか

海外では感染が拡大しているが(マスクをして地下鉄に乗る人びと=ロンドン)/
海外では感染が拡大しているが(マスクをして地下鉄に乗る人びと=ロンドン)/(C)ロイター

 ヨーロッパとアメリカで再び感染が拡大する新型コロナウイルス。そんな中、日本の感染がなぜ激減しているのか? 海外メディアではこんなふうに伝えています。

 まず、感染が拡大しているお隣、韓国との比較に着目しているのは、オーストラリアの新聞「ファイナンシャルレビュー」です。韓国ではいま、1日の感染者がパンデミック以後、最多となる4000人に到達。日本も韓国も人口が密集する居住環境で、飲食店の入り口では体温測定、席には透明な仕切りがあるのも同じなのに、です。

 この違いはどこから来ているのかという理由のひとつとして、国立遺伝学研究所の井ノ上逸朗教授チームによる研究結果を紹介しています。それは、デルタ株でゲノムの変異を修復する酵素が変化し、働きが落ちたことで修復が追いつかず死滅したというもの。これに対し、「オーストラリアのようにコロナとの共生を覚悟している国にとっては夢のような話」とコメントしています。

 一方、ニュージーランドの放送局「ニュースハブ」のデジタル版は、英国保健安全保障庁のメガン・コール博士のコメントを引用。「同じウイルスであってもすべてが同様に変異するわけではない。実験室ならともかく、自然界でRNAウイルスに起こり得ることではない」と、広範囲のパンデミックがこのような形で収束するとは考えにくいとしています。

 さらにコール博士は「日本はオリンピックとお盆時期に感染者が急増した直後、ワクチン接種がスピードアップ。その後の減少はやはりワクチンの効果が表れたからだろう。4月から10月までの緊急事態宣言による厳しい行動制限が、オリンピックの影響と見られる感染者のさらなる増加を防いだとも言える」とし、複数の対策の効果と考える方がずっと現実的だと指摘しています。

 ただこれを読む限り、やはり海外からも、日本における夏の感染急拡大は、オリンピックの影響だと見えていたことがわかります。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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