■水分摂取を控えるのはNG
トイレといえば、就寝中に何度も目覚めたり、出先でトイレが近くなるのが嫌だからと、水分の摂取を控える人がいます。高齢者ではなおさら多く見られます。しかし、これは心臓にとって極めて良くない習慣です。
心臓は脱水にめっぽう弱い臓器です。脱水の傾向が強くなると血液の量が減って、粘度も上がります。少なくなったうえに流れにくい血液を体全体に送らなければならない心臓は、心拍数を増やします。それだけ負担が増大するのです。血栓もできやすくなって、心筋梗塞や心不全といった心臓病を引き起こしやすくなります。また脱水になると、心臓病を抱えている患者さんは心房細動を発症しやすくなりますし、脱水をきっかけに、大動脈弁狭窄症の症状が強く出て、意識を失ってしまう人もいます。
冬のトイレは血圧を急激に上下動させるリスクがあるからと、水分摂取を控えてトイレの回数を減らそうと考えるのは、逆にマイナスに働きます。冬は、エアコン、ストーブ、ホットカーペット、コタツといった暖房器具を長時間つけっ放しにしていることも多いため、乾燥して余計に脱水傾向が強まります。意識してこまめな水分摂取を心がけるのが望ましいのですが、それだと頻尿に悩まされるという場合、泌尿器科を受診することも考えてみましょう。
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