コロナ禍で人気に拍車「カラコン」による目のトラブルには要注意

写真はイメージ
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 コロナ禍で半ばマスク着用が義務付けられているなか、目元のおしゃれとしてカラーコンタクト(通称カラコン)が若者の間で流行しているという。目を大きく見せたり、青や茶色、グレーなど色とりどりのカラコンを装着することで人目を引くことができるからだ。その一方でカラコン使用者の半分近くはネットで購入しているため使い方が適切でなく、目のトラブルが続出しているという。眼科専門医で「自由が丘 清澤眼科」(東京・目黒区)の清澤源弘院長に聞いた。

「カラコンによる目のトラブルが増えているのは事実です。しかしそれはカラコンすべてが危険だからではありません。眼科専門医の処方、定期的な検査なしに使用したり、安価な粗悪品に手を出したり、不適切な使い方をする人が後を絶たないことが問題なのです」

 実際、消費者庁には自分に合わないコンタクトレンズや友達同士で貸し借りするなどの不衛生な使い方によって、この5年間で242件の事故が報告されている。

 そのうち75件はカラコンによるものだったという。なかには治療に1カ月以上要した事例も6件あった。

「本来、カラコンを含むコンタクトレンズは高度管理医療機器であり、法律に基づき品質、有効性及び安全性が確認され国に承認されたものを適正に使用しなければなりません。そうでなければ重篤な眼障害を起こす可能性があります。ところが、視力補正を目的としないカラコンのなかには海外から輸入され、インターネットなどによって販売されているものがあります。これらは国内承認を得ていない製品もあり、トラブルがあっても製造元に連絡することは難しく、補償もありません」

 カラコンでのトラブルで多いのは「色素沈着」と「酸素透過性不足」だ。

 色素沈着はカラコン装着中にレンズの着色剤が角膜にくっついてしまうトラブル。そのまま使い続けると、角膜に炎症が起き、痛みや充血などのトラブルが起きる。

 酸素透過性不足は、通常のコンタクトレンズでも問題になるが、カラコンではその値が通常レンズの半分以下というケースもある。

「この値が低いレンズを長時間使用すると目が酸素不足となり、傷がつきやすくなり、感染症にかかりやすくなります。なかには角膜上皮の欠損だけにとどまらずその下にある角膜実質まで障害される角膜潰瘍を起こすこともあります」

■視力低下や失明リスクも

 角膜潰瘍が進むと治っても視力が低下したまま戻らなくなることもある。さらには角膜に穴が開いて失明する場合もある。

 とはいえ、角膜が障害されれば強い痛みが出るため気が付く。怖いのは自覚症状のないまま進行する、角膜血管侵入だ。

 角膜には血管がなく、必要な酸素は涙液を介して取り込んでいる。しかし、角膜が酸素不足になると、不足した酸素を補おうとして角膜の周囲から黒目の中心部分に向けて新生血管が伸びてくる。この状態が進むとやがて角膜に濁りが出て視力障害が起き、最悪、失明してしまうという。

 では、安全にカラコンを楽しむには、どうしたらいいのか?

「まず、カラコンはコンタクトレンズと同じ高度管理医療機器であるという認識を持ち、自分に合ったコンタクトレンズを眼科医院で処方してもらうことが大切です。コンタクトレンズには角膜曲率半径というものがあり、自分の目のカーブに合うものを使いましょう」

 カラコンといえども使う以上は、3カ月に1度程度の頻度で眼科で検診を受けることが大切だ。

 安全で清潔に使うため、カラコンはワンデータイプの使い捨てを使うのが望ましい。

「過酸化水素を使った保存液を使う場合は、中和液でよく洗ったうえで使用する必要があります。過酸化水素が残ったまま角膜に乗せると、角膜障害を起こす場合があります」

 もちろん、友達同士での貸し借りはダメ。感染症を起こすことがある。

「先ほど申し上げたようにカラコンは一般的に、通常のコンタクトレンズに比べて酸素透過性が低いといわれており、通常レンズの10分の1の酸素透過性しかないものもあります。ですから、そのなかでも『Dk/L値』が高いものを選ぶのがいいでしょう。カラコンのパッケージに記載されているので、比較するポイントになると思います」

 ちなみに酸素透過率の基準値は「80Dk/L」。それ以上であれば裸眼を100%とした時の97%ほどの酸素を通してくれるものと考えられている。

「もし、目に充血や異物感、痛み、まぶしさ、かゆみなどを感じたら迷わずカラコンを外して眼科医を受診することが大切です」

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