新型コロナワクチンの疑問に答える

国内で確認された「オミクロン株」はどのくらい脅威なのか

国内で新型コロナウイルスの「オミクロン株」が初確認されたことを伝える電光ニュース
国内で新型コロナウイルスの「オミクロン株」が初確認されたことを伝える電光ニュース(C)共同通信社

 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が国内で確認された。WHOは「世界的なリスクは非常に高い」との見方を示し、モデルナ社のバンセルCEOは、ワクチンの効果が「従来の変異株に比べてかなり弱い」と発表している。

【Q】「オミクロン株」は現在、どの程度の脅威とみられていますか?

【A】「まだ詳細に解析されていませんが、その感染力について、南アフリカではデルタ型を上回ると報告されています。これまでで最も変異が多いタイプと思われ、ヒトの細胞表面にある受容体と結合するスパイクタンパク質の部分に関しては、わかっているだけでも32個以上の変異が見つかっています。それが南アフリカを中心に急激に増加しており、英国や香港、イスラエル、オーストラリアなどでも見つかっていますが、オランダでは1度に15人もの感染が明らかになりました。もっとも、重症化する度合いは低いと報告されています」

【Q】国内での蔓延を予防する方法は?

【A】「医療関係者はもちろん老人ホームや介護施設の関係者に対する3回目のワクチン接種に加え、いまだに受けていない層のワクチン接種も進めることが重要です。現在の感染状況を見ると、ワクチンを接種していない若い人が6割を占めており、その他の多くはワクチン抗体がほぼなくなった70~90歳ぐらいの高齢者による施設内クラスターが原因です。変異の多いオミクロン株はカクテル療法の効果が従来よりも弱くなると考えられるので、まずは感染しないことですね」

【Q】日本は全世界からの入国を停止したが、ナミビアの外交官(30代)の感染が発覚。その後もう1人、20代の感染が明らかになった。ワクチンは効くのか?

【A】「政府の見解からも重症化の有無など実態が判明するまでは、感染国からの流入を禁止し、積極的なPCR検査で陽性者を特定した上で濃厚接触者も含めて14日ほどの隔離が必要であると思います。ワクチンについては予防効果があると推測していますし、打たないよりは打った方がいい。デルタ株が流行した時も、アルファ株でつくったワクチンが効いて、重症化はしなかった。これと同じケースになると思います。とはいえオミクロン型のワクチンも早急に作るべきでしょうね」

◆10月28日に連載が単行本になりました。3回目の接種や子どもたちの接種など、まだまだ知りたい情報をQ&A形式で答えます。



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奥田研爾

奥田研爾

1971年横浜市立大学医学部を卒業後、米国ワシントン大学遺伝学教室、ハーバード大学医学部助教授、デューク大客員教授、スイスのバーゼル免疫研究所客員研究員として勤務。2001年横浜市立大学副学長、10年から名誉教授。12年にはワクチン研究所を併設した奥田内科院長。元日本エイズ学会理事など。著書に「この『感染症』が人類を滅ぼす」(幻冬舎)、「感染症専門医が教える新型コロナウイルス終息へのシナリオ」(主婦の友社)、「ワクチン接種の不安が消える コロナワクチン114の疑問にすべて答えます」(発行:日刊現代/発売:講談社)のほか、新刊「コロナ禍は序章に過ぎない!新パンデミックは必ず人類を襲う」(発行:日刊現代/発売:講談社)が8月に発売される。

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