Dr.中川 がんサバイバーの知恵

「神田川」を作詞した喜多條忠さんが永眠 肺がん早期発見には最新血液検査がいい?

2014年本紙取材時の喜多條忠氏(C)日刊ゲンダイ

 肺がんの治療を左右するのは、とにかく無症状のうちに見つけること。そのためには月並みですが、検診です。男性の40%、女性の70%を占める肺腺がんはX線で見つかりやすい。もちろん肺のCT検査も有効ですが、まずは1年に1回の肺がん検診が重要です。

 そんな中、NECのグループ会社が血液で5年以内の肺がんリスクを調べるサービスを始めるといいます。がん専門医からすれば、最近話題の線虫検査よりはマシという程度でしょう。

 線虫検査は肺がんや胃がん、大腸がんなど15のがんを発見するとの触れ込みですが、全体を網羅した判定でどのがんが高リスクなのか分かりません。しかし、今回の血液検査は肺がんに特化したものですから、もし高リスクなら肺のCT検査→組織検査で肺がんと診断されます。

 新しい検査におカネを使うなら、公費で受けられる検診を毎年きちんと受けるべきでしょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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