名医が答える病気と体の悩み

手汗がひどくてびっしょり…病気が隠れている可能性は?

美容皮膚科医の中村光伸氏(提供写真)

 一方、両手だけに汗が出て体調に異変を感じないなら、原発性多汗症の可能性があります。遺伝疾患の素因はあるものの、原因は分かっていません。皮膚科で問診と汗の量を計測し、原発性多汗症と診断されたら、塗り薬「塩化アルミニウム液」を処方されます。手のひらに直接塗り込んで、汗腺を封じて汗が出てこないようにします。

 それでも効果が見られない場合、保険適用外になりますが、ボツリヌス療法を選ぶ方が増えています。ボツリヌス菌を注射することで、ボツリヌス菌の神経毒素によって筋肉の収縮を抑制し、交感神経から伝達される汗を出す信号をブロックする治療法です。年2~3回の注射で症状は軽減します。相場は1回5万円程度です。

 また、ETS(胸腔鏡下胸部交感神経遮断術)の手術も可能です。こちらは保険適用で、脇の下や腕に穴をあけて、内視鏡から交感神経の束を見つけて切断します。

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