がんと向き合い生きていく

がん検査「CT」「MRI」「PET」はそれぞれわかることが違う

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 このMRI装置の高性能化により、全身を一度に検査できるようになったものが「ドゥイブス(DWIBS)撮影」と呼ばれています。

■組み合わせて診断する場合も

 PETは、がん細胞が正常細胞より糖代謝が高進していてたくさんのブドウ糖を必要とすることを利用した検査法です。FDG(放射性フッ素を付加したブドウ糖)という検査薬を注射し、がん細胞に取り込まれたブドウ糖の分布を画像にします。がんの箇所にFDGが強く集積するので、正常組織との“違い”がコントラストよく描出されるのです。

 ただし、糖尿病などで高血糖の状態では正確な結果が得られないことがあります。また、がんではなくても、ブドウ糖が集まりやすい脳、心臓、消化管、腎盂、尿管、膀胱など、また炎症を起こしている部位では、がんの診断が困難です。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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