オミクロン株の感染者4例目はナイジェリアに滞在歴のある50代男性だった。厚労省は、オミクロン株のゲノム解析に時間を要するため、14日以内に海外での滞在や渡航歴がある陽性者に、医療機関への入院を促すよう都道府県などに通知している。
【Q】オミクロン株の病態が明るみに出つつある。日本では4人、世界50カ国以上で感染者が報告された。オミクロン株に罹患したらどのような症状が出るのか?
【A】「無症状の人もかなり多いとみられていますが、強い頭痛、喉の痛み、体の痛み、気分が悪くなることが主な症状です。一方、現時点では、味覚・嗅覚異常はほとんどなく、酸素吸入療法を必要とするケースは見当たりません。まだこの変異型で死亡したという報告はない。オミクロン株は感染力が極めて高いのが特徴で、海外ではこれまでより3倍ほど感染力は強いとのデータが出ています。南アフリカなどでは2、3週間で75%の感染者がデルタ株からオミクロン株に変化していた。ここ数日で、英国では336人、デンマークでは183人の感染がありました」
【Q】政府は今月末まで外国人の新規入国禁止をしている。本当に必要か?
【A】「少なくとも、蔓延している国からは禁止したほうがいいですが、水際作戦は多少緩和しても変わらないかも知れません。正月を迎え帰国する日本人などは10日ほど隔離したのち、解除してもよいと思う。もっとも、感染拡大防止対策は必要ですが、重症化、死亡者の点から考えると過剰に恐れることはないでしょう」
【Q】ワクチンはオミクロン株に効かないといわれる。新株に対応できるワクチンはいつできるのか?
【A】「確かに、オミクロン株はスパイクタンパクが32個以上変異しているため、従来のワクチンでは非常に効きづらいと思われます。抗体カクテル療法も同様です。ワクチンは、ほかの変異株に対する予防効果にはなりますが、オミクロンには3度のファイザーワクチンを打った人も少なからず感染した。政府は今からでもこの変異株に対し、ワクチンを作るよう第一三共(mRNAワクチン)、KMバイオロジクス(不活化ワクチン)に要請すれば理論上、すぐに作れます。ただし、南アフリカにワクチン支援をしつつ、Ⅲ相の臨床試験を共同して行わないといけないため、患者が少ない国内のみでは不可能でしょう。米国ではすでにオミクロン株用ワクチンを考え、必要なら3カ月で供給可能と述べています。世界の感染状況をみると、今までのワクチンが本当にオミクロン株に効かないかはもう2週間ほどで判明してくると思われます」
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(発行:日刊現代 発売:講談社)